正夢絵本
「じゃあ今までのは全部夢か。」
ふぅといいながら再びベッドに倒れ込む。
そこでふと違和感を感じる。
「あれ?かなりリアルな夢だったような…」
沙耶はベッドから飛び起きるとその疑惑を確かめるべく机に走った。
するとそこには"白い"ページを開いたままの黒の本があった。疑惑が確信へと変わった。
「本使っちゃったよ…」
本を閉じ忘れたのかと思いはぁとため息をつく。
「夢通りなら今日一日中眠いじゃん……」
"休む"つもりで早く寝たのにこれでは元も子もない。
仕方なくそのまま出勤の準備をする。
だがそこで重大な事に気づいた。
「……私夢の中で何か望んだっけ?」
んーと考えてみるが心当たりがない。しかし望んでもないのに夢から覚めるのはおかしい。
これは沙耶が実験して解った事だが、本を使って夢を見た場合、夢の中で望みを言わないかぎり夢から覚めることは皆無であった。
なので望んでないことはありえないのだが自分が無意識のうちに願ったのか自分の望みが全く解らなかった。