正夢絵本
「何だ?」
沙耶の声に驚いた三人は声のしたほうを振り向いた。そこには血相を変えて突進してくる沙耶がいた。
その時だ。
「うっうわぁ!!」
階段上からの大きな音に皆がそちらを向いた。
ガガガガッ!!!!
「危ない!」
沙耶はあの柄の悪い男性の前に飛び出し護ろうとし固く目を瞑った。
「危ない!」
「えっ…」
ガシャーン!!!!!
自動販売機は大きな音を立てて落下した。
「おいっ大丈夫か!?」
声を掛けられ目を開けると自分の体を見渡した。
「あれっ…無傷…」
何でと考えてふと前をみるとそこには"助けたはず"の男性が自動販売機の下敷きになっていた。
「きっきゃぁぁぁ!!」
「大丈夫か!?」
沙耶が悲鳴を上げると後ろから肩を支えられた。振り向くとそれはあの痴漢を捕まえた男性だった。
「う゛っ……はぁっ!」
「生きてる!」
下敷きになった男性のうめき声を聞くと沙耶を支えてくれた男性は急いで駆け寄った。
「だれかはやく救急車呼べ!」
「おい!早くこれ退かすの手伝ってくれ!」