In the warm rain【Brack☆Jack3】
「動向は常に報告してください。我が社の社長に何かあったら大変ですから」


 その言葉に、ユイは苦笑する。


「…分かったわ。約束する」


 彼はホン・チャンヤー時代からの、信頼のおける人物だった。

 そして、車は病院に到着する。

 病室のドアを開けると、酸素マスクと点滴をつけたまま、レンがベッドに横たわっていた。


「レン…」


 やっと無事な姿をこの目で確かめることが出来て、ユイはほっとする。

 だがその姿は包帯だらけで、痛々しかった。

 ユイがベッドの脇に腰を下ろすと、レンはすっと目を開ける。


「気が付いた?」

「…あァ」


 一瞬だけうつろに返事をして、レンは頭だけ動かしてユイの方へ向き直った。
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