In the warm rain【Brack☆Jack3】
「…ありがとな」


 目覚めてすぐにお礼を言うレンに、ユイは苦笑する。


「どういたしまして」

「で、アイツは?」


 何だかんだ言って、真っ先に気にするのが“アイツ”なのか。

 ユイは少し躊躇ったが、正直に報告することにする。


「多少かすり傷は負っていたけど無事よ。ミサトを追い掛けて、日本に行ったわ」

「そうか。俺達も」


 酸素マスクをもぎ取り、起き上がろうとするレンを、ユイは慌てて押さえる。


「待って、レン。今は夜中よ。飛行機のチケットを用意するのは明日の朝一番ね」


 本来なら動ける筈もないのだが。

 でも、安静にしろと言っても聞き入れてもらえないのは、充分に理解している。
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