In the warm rain【Brack☆Jack3】
 男の後ろにあるハッチが閉められている。

 さっきここに来る時にはちゃんと開けておいた筈なのに。

 この男…自分と一緒に心中するつもりなのか。


「…無駄というより無意味よ、そんなこと…」


 ユイは小さく言った。

 だが男は答えない。

 爆発まで、もう時間がない。


「どうせ組織は…死ななきゃ抜けられねェんだ…」


 男は口から血を吐きながら言った。

 ユイは、目を伏せる。

 この男も…何かを見誤っているのか。

 エイジとレン、ミサトの本当の目的が、何となく分かったような気がする。

 組織の為に死んでいった数々の人間や、シャンのような悲しい結末を、もうミサトは見たくないのだ。

 だから、根源であるこの船を、この組織を、消滅させたいのだ。
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