In the warm rain【Brack☆Jack3】
 だがシュキは、静かに周りに向か って命令を下す。


「最後の任務だ。ここにいる四人を消せ。命令を遂行出来なければ、死あるのみ」


 ミサト、エイジ、レン、ユイはそれぞれ身構える。

 だが、その時再び、船が大きく前方に傾いた。


「チッ…!」


 エイジは舌打ちする。


「テメェら! 時間はねェ、逃げるなら今のうちだ!」


 足元の床も、立っているのがやっとだった。

 船首部分が沈み、この角度だと船尾は浮いている筈だ。

 その重みに耐え切れず、船全体がミシミシと軋む音を立てている。

 その音が、この船が沈没するという事実を、より身近に感じさせた。

 戦闘員が、一人、また一人と銃を下ろす。

 シュキは再び銃を構えた。

 だがすかさずミサトが一発、銃を発砲する。

 シュキの持っていた銃は弾き飛ばされた。

 その隙を見て、戦闘員達は次々にこの場から逃げ出す。

 後には、シュキとミサト達のみが残される。


「どう? これが結果よ」


 ユイは静かに言った。


「で、オメェはどうするんだ?」


 レンも刀を鞘に納め、シュキに聞く。


「この船を捨てて逃げ出すのなら、俺達ももう深追いはしねェ…それでいいだろ、ミサト」

「……うん…」


 ミサトはシュキを見つめた。


「生き延びても、もうあたし達に構わないで欲しい…やっと手に入れた、笑って過ごせる時間なんだもん…」


 そう言って、ミサトはくるりと回れ右をして、操舵室を出ていく。
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