In the warm rain【Brack☆Jack3】
 船は更に傾いて、甲板まで辿り着くのにまるで山登りでもしているような感覚だった。


「おい、いいのか、放っておいて」


 登りながら、エイジは聞いた。


「…うん…」


 そう答えるミサトの表情は暗い。

 操舵室を出る時、シュキはこっちに背中を向けていた。

 だから、その表情は読み取ることが出来なかった。


「でもこれで、みんな終わったよ」


 ミサトはそう言って、目を伏せた。

 甲板に出ると、ユイが無線で自分の船を呼ぶ。

 ユイの命令どおり射程距離外で待機していた船は、すぐに姿を現した。


「…さぁ…帰りましょう」


 四人は、迎えに来た船を見つめた。

 だが、その時。
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