初恋

すると後ろから
ドスのきいた声で

「誰の女に手だしとん?」

この声は!

その声に振り返る男たち。
そして龍鵞の顔を見ると
真っ青にして
帰っていってしまった。

龍鵞が助けにきてくれて
すごくうれしいはずなのに
私は
「なにしにきたん?」

そんなん言いたくないのに。
素直にありがとって
言いたいだけなのに。

すると龍鵞は
何も言わずに私のところに
やってきて
そっと抱きしめてくれた。

抱きしめてくれる腕が
小刻みに動いているのがわかり
龍鵞を見ると
彼はないていた。

何も言えなかった。
だからそっと彼の背中に
腕をまわし
私も龍鵞をだきしめた。
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