君と本気のラブゲーム

「そもそも、どうしていきなり結婚なんて言いだしたの?」

とりあえずそう訊いてみると、嘉乃は「だって」と言いながら自分の椅子に座り、私の方に向きを変える。

そして、

「あのね、同性は結婚できないんだよ?」

と、拗ねたような口調で言った。


「……知ってるよ?」

正しくは、“日本では”できない、だよね。

知ってる知ってる。


「ずるくない!?『親友』なんてただの肩書だよ?どれだけ好きでも、形にはならないの。絶対じゃないの。それなのに、相手が男だったら結婚っていう形が得られるの」

「……うん、まあそうだね」

「だから、私がアヤとの形のあるつながりを得るためには、家族になるしかないと思うの」

でしょ?と私の顔を覗き込んでくる嘉乃。


……そう言われても。

「家族ってどういうこと?」

「うん、今からじゃ姉妹にはなれないじゃない?血はつながってないんだし。だから、アヤが私の弟と結婚してお嫁に来てくれればいいと思って」


……嘉乃さん。

お願いだから、突拍子もなさすぎるっていうことに気付いてください。


「……でも、もし仮に私が嘉乃の家に入ったとしても、嘉乃がお嫁に行っちゃったら結局意味無いんじゃない?」

実家っていうつながりはあるだろうけど、もしかしたら旦那さんが転勤族、ってこともあるかもしれないし。

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