君と本気のラブゲーム
「うーん、でも私も油断してたなぁ…。まさかアヤが来てる日にも実行するとは」
渋い顔で方杖をつく嘉乃。
今は昼休み。
教室で私と嘉乃は机をくっつけて一緒にお昼を食べていた。
嘉乃の言う、実行、とは京佑くんが女の人を連れ込んでいたことを意味しているんだろう。
「……ま、いっか!それのおかげでなんか面白いことになったし」
「面白いことって…。他人事だと思って!おかげで私、すごい面倒なことになってんですけど」
だって、ふたりに勝つためには、『京佑くんを好きにならず、かつ京佑くんに私を好きにさせる』ことが必要になってしまった。
「私からしたら、キョウがアヤに迫ってくれるなんてこんな嬉しい展開は無いよ!私が何かしなくてもゲーム進めてくれるってことでしょ?素敵!」
ちゅー、と紙パックのイチゴミルクを吸い、満足気に笑う嘉乃。
「まったく、ひどい親友だ」
「えー、ひどい。私とのゲームはギブアンドテイクでしょ?アヤだって私がお兄さんとくっついてくれるなら、って了解したんだから」
「そりゃそうだけど…」
私だって早く嘉乃と兄をくっつける役をやりたいけど、残念ながら今日は兄が大学のあと夜遅くまでバイトがある日だった。
「とにかくっ!今日はしっかりキョウを誘惑してきてね!」
ぐっとスプーンを持ったまま拳を握りしめた嘉乃。
まあ…、落とす自信は皆無だけど、ゲームに乗った以上はやれるだけのことはやらないとね…。
「誘惑って。ていうか、京佑くんってどんな女の子が好きなの?私そもそも好みの中に入ってないんじゃない?」
気性荒いの願い下げだ、とか言ってたし。
…私そんな気性荒いとか自分じゃ思ったこと無いけど。
「キョウ?奴は清楚系が好きらしいよ」
「嘘でしょ?」
昨日布団の上にいた美女は明らかにセクシー路線だ。
「嘘言ってどうすんの。だってキョウの好きな女優さんとか…、唯一ちゃんと付き合ってた彼女だって、外面は清楚系だったもん」
あー、あの嘉乃がクラッシュしたっていう、二股彼女ね…。