スカイグリーンの恋人
恋のゆくえ

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・・・・・ 快適な空の旅へいざなう 『グリーン・エアライン』   

     男性キャビンクルーが みなさまの空の旅をお世話いたします

     彼らと一緒に優雅なひとときをすごしてみませんか? ・・・・・





ポスターの前に立ち 『グリーン・エアライン』 のキャッチフレーズを

見つめる。

みなさまに快適な空の旅を提供できるのだろうか…… 

今日の私は、不安で押しつぶされそうになっていた。


午後の便に、ある人物が搭乗すると知らされたのは今朝のミーティングだった。

その人物は何度も利用しており、これまで問題を起こしたことはなかった

ものの、不自然なほど搭乗をくり返していた。

回数が多いからといって疑いの目で見ることはないが、今回はそういった人物が

同じ便に複数乗り合わせている。

何かあるのではないかと誰しも思うもの。

「……とういうことだけ伝えておきます 業務は変わりなく平常心で」 と

小野寺本部長は言っていたけれど、とても平常心ではいられない。


万に一つでも危険を察知したのなら運行停止になるはず。

運行決定と言うことは、今は心配はないということ。

用心の上にも用心を重ねる彼のことだから、みずから乗り込んで 

「もしも」 に備えるつもりなのかも。 

でも、これだけは言える。

私のために、あなたがそばにいてくれるのではないということ……


不安を隠しきれない私に 「大丈夫ですよ」 と声をかけてくれたのは、

関谷伊織君だった。

武道の心得がある彼の言葉は、私の心細さを和らげてくれる。



「たとえ突発的な事態が起こったとしても 空を飛んでいる最中ですから 

彼らも無謀なことはしないでしょう」


「そうね そう願いたいわ」


「何かあるとしたら……」


「あるとしたら?」


「密輸とか取引とか 空の上で密かに行われているのかしれませんよ」



神妙な顔で伊織君に密輸と言われ、そうなの? と不安を滲ませると……



「なんてこと ドラマや映画ではあるんですけどね  

でも 僕らには関係のないことです だから大丈夫ですよ」



何かあったら僕が投げ飛ばします、と背負い投げの振りをしながら

言ってくれたが、伊織君が言うと冗談に聞こえないから困ってしまう。



「お願いだから投げないでね」


「はい チーフは僕が守りますから」



なんでもないように、さらっと言われて、私は少し……

いえ、かなり気分が良かった。

伊織君の目が私を追っていると気がついていた。

熱のある目を向けられて嫌な気はしない。

頼りになる男性だと、彼を意識しはじめている自分にも気がついていた。


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