ラピスラズリの恋人
気が付くと、うちの社員達は織田さんの会社の社員達と盛り上がっていた。


「貴島さんこそ、ご結婚は?」


今度は自分に飛んで来た質問に、一瞬だけ悩んだ後で首を横に振った。


「いえ、俺もまだ……」


「でも、大切な人はいるんでしょう?」


鋭い言葉に目を見開けば、織田さんがクッと笑って悪戯な表情を浮かべた。


「図星、ですね」


「……鎌(カマ)、掛けたんですか?」


「そんな人聞きの悪い……。今日、式場や教会を廻ってる時の貴島さんの顔が誰かを想ってるようだったので、半信半疑で訊いてみただけですよ」


そう言いながらも、織田さんはクスクスと笑っていた。


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