ラピスラズリの恋人
「俺の見解では、貴島さんは自分の気持ちを隠すのが上手い方だと思ってます。少なくとも、公私混同をするようなタイプには見えませんから」


「どうでしょうか……。自分ではよくわからないですよ」


「気持ちを隠すのが上手いですよ、貴島さんは。俺、人を見抜く目には自信があるんです」


夕陽が沈み掛けた海を背負う織田さんは、俺から見ても洗練された大人の男の魅力を感じさせる。


さっき年齢を訊いた時に同い年だと知ったけど、良い意味でそうは見えない。


「そんなあなたが仕事中に考えてしまう程の人なら、よほど大切な方なんですね」


どこか悪戯めいた笑みに苦笑を返した後で、ゆっくりと頷いた。


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