ただひとつ。Side Story
「…あ!青山くん!」
加藤が突然、声を上げた。
「…は?」
俺は彼女の視線を辿っていく。
こんな人混みの中で、よく見つけたな…。
「…うおっ。」
そりゃあ見つけるわ。
…なんじゃ、ありゃ。
隣りには…
金魚すくいの出店。
なぜか浴衣を身にまとい、しかも袖をたくしあげ…
真剣に、その水面を睨むひとりの男。(しかも、イケメン。)
そりゃあ目立つわ。
けれど、かなりの違和感。
だいたいあいつがこういう場所にいること自体が可笑しい。
「ホントに青山?」
「え~。間違いないでしょ。」
「………。」
俺は少し近づいて、まじまじとその人物を見つめた。
「………。」
「…やった!すごいっ颯太。」
「だろ?もしかしたらまだいけるかも。」
「……あ…。」