ただひとつ。Side Story
「…いいなあ。」
背後からそう呟いたのは…、
加藤だった。
『いいな』って…。
金魚が欲しいなんてひとっ言も言ってなかったのに?
「…とろうか?」
青山が意外過ぎる一言を口にする。
「いや、いい!俺がとるから。」
その瞬間に…
負けず嫌いの俺のスイッチが入った。
「…和志、とれるの?」
「…多分。」
俺はタコ焼き屋のおっちゃんにさっさとお金を支払うと…、
ズカズカと歩き、
青山のすぐ隣に腰を降ろした。
意気込んで『ポイ』を素早く水中へと滑らせる。
…が、
金魚どころか、一瞬にして…
破れてしまった。
「…………。」
ヤバい。
これは予想外に難しいぞ。
「…おっちゃん、もういっかいするからポイちょーだい?」
「…奥山くんがんばれ~。」
すぐ隣りに、楓が座り込んだ。