ただひとつ。Side Story
「…おっ…!」
…半ば諦めかけていた金魚すくい。
手元のお椀には……
ちいさな、赤い金魚が一匹。
「…やった!」
俺はすぐさま青山の方に顔を向けた。
「…やりゃできんじゃん。」
奴はゆっくり立ち上がると…
浴衣の袂を直して、
それからニヤっと笑った。
「良かったな。彼女にいーとこ見せられて。」
「はあ!?」
「あれっ、違うの?」
楓も続けて声を上げた。
「…違うよ!そんなんじゃ…、ない。」
そう言ったのは…
加藤の方だった。
「そっか。…じゃあうちらはそろそろ行くね!」
空気を察した楓が、機転をきかせて青山の腕をひいた。
「………。」
「…んじゃあ、またな。」
「…おう。」
楓があいつの腕に、自分の腕を絡めた。