ただひとつ。Side Story
どっちがカップルみたいなんだよ。




二人の後ろ姿を見送りながら……



背後に刺さる視線が痛かった。






「……兄ちゃん、ホラ、金魚!」


テキ屋のおやっさんから袋を受け取ると…



それを、加藤の前に差し出した。



「…ん。」


「…何?」


「あげる。」


「…いらない。」


「……さっき欲しいって言ったじゃん。」


「そんなの、嘘だよ。」


「…はあ?!」


女って、女って…



「……バカ、鈍感。」




彼女はそう言って…


持っていたタコ焼きを俺に押し付けた。



いきなりすぎて…



俺はそれを足元へと落としてしまう。



「…はあー……。」


仕方なく、俺は散らばったそれをひとつずつ拾う。




「…もう、帰る。」


「…え。なんで?花火まだ…。」


「もう、いいよ。」




< 142 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop