ただひとつ。Side Story
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「う~…寒っ…。」
「…そうかあ?俺はあったかいけど。」
「あんたはいつでもチョロチョロしてるから…。」
「……ひでっ。」
「…うわ~…虫の音が聞こえる。」
「何でそんな嫌そーなの?風流でいいじゃん。」
「だって夏が好きだもん。」
「…ふ~ん…。」
部活帰り…
俺と加藤は、いつものように肩を並べて歩いていた。
確かに、頬を掠めるその風は…
纏わり付くようなじめじめとした夏を感じさせるようなものでは…なくなっていた。
カラッと乾いていて…
涼しい。
半袖の加藤は、何度もその腕をさすっていた。
「…寒がり。」
「…うっさい!」
手を繋ぐわけでもなく…
薄暗い道をただ一緒に歩いて帰る。
それが俺達の唯一のデートだ。