Special Edition
1つ返事は出来なかった。
馴初めと聞いて思いつくのは、
ゆのの苦労した過去が世間に知れてしまうという事。
こういう立場にいれば、
いつの日か、そういう日が来るであろう事は予測していたが、
こんなにも早くに訪れるとは思ってもみなかった。
「すみません、即答は出来兼ねます。妻と両親にも相談しますので、後日改めてご連絡差し上げます」
「では、こちらが連絡先です。宜しくお願います」
カメラマンは笑顔で名刺を手渡した。
席へ戻った俺は無意識に溜息を零す。
すると、
「大丈夫ですか?」
「ん?………あぁ、何でもない」
「でも………」
「気にするな」
心配そうに見つめるゆのの手をギュッと握り、
カメラマンから手渡された名刺を袂に入れた。
その後は華道会の重鎮、桐島蘭清の登場と共に一気に盛り上がる。
ステージ上でパフォーマンスとも言える即興生け花を繰り広げ、
会場の熱気はますますヒートアップするばかり。
「わぁ~凄いですねぇ~」
俺のすぐ隣りでも、魅了されている人物が1人。
俺はそんな彼女の喜んでいる姿をじっと眺めていた。