Special Edition


ステージ上でのパフォーマンスが一区切りを終え、

それぞれに食事に手を付け始めると、

同じテーブルのご夫婦が声を掛けて来た。


「あの、香心流の家元ですよね?」

「はい、そうですが」


俺は営業スマイルで爽やかに会釈する。

すると、俺の横で同じように会釈するゆの。

『家元』という言葉に反応して、

一瞬で『女子大生』から『家元夫人』へと雰囲気を変える。


豪華な食事に瞳を輝かせていた筈の彼女は、

今は凛としている大人の女性だ。


「そちらは、奥様でいらっしゃいますか?」

「はい、妻のゆのと申します」


にこやかに笑顔を向けるゆの。

俺も自然と笑みが零れる。


彼女の口から『妻の』と聞くと嬉しくて堪らない。

この女性は俺のモノなんだと言っている訳だから……。


「お2人ともお若いし、美男美女で羨ましいわぁ」

「あぁ、本当に。申し遅れました、私は花器専門の陶芸をしております、宗我(そうが)と申します」

「宗我さん。……ん?宗我さんって………もしかして、陶芸家の藤雪(とうせつ)氏ですか?」

「ん?私の事をご存知で?」


< 238 / 477 >

この作品をシェア

pagetop