Special Edition
ステージ上でのパフォーマンスが一区切りを終え、
それぞれに食事に手を付け始めると、
同じテーブルのご夫婦が声を掛けて来た。
「あの、香心流の家元ですよね?」
「はい、そうですが」
俺は営業スマイルで爽やかに会釈する。
すると、俺の横で同じように会釈するゆの。
『家元』という言葉に反応して、
一瞬で『女子大生』から『家元夫人』へと雰囲気を変える。
豪華な食事に瞳を輝かせていた筈の彼女は、
今は凛としている大人の女性だ。
「そちらは、奥様でいらっしゃいますか?」
「はい、妻のゆのと申します」
にこやかに笑顔を向けるゆの。
俺も自然と笑みが零れる。
彼女の口から『妻の』と聞くと嬉しくて堪らない。
この女性は俺のモノなんだと言っている訳だから……。
「お2人ともお若いし、美男美女で羨ましいわぁ」
「あぁ、本当に。申し遅れました、私は花器専門の陶芸をしております、宗我(そうが)と申します」
「宗我さん。……ん?宗我さんって………もしかして、陶芸家の藤雪(とうせつ)氏ですか?」
「ん?私の事をご存知で?」