Special Edition


その後は簡単な取材を受け、

俺とゆのは会場を後にした。


ホテルのロビー前を通過したその時、


「家元!!」

「あっ、はい!!」


声を掛けて来たのは、藤雪氏の奥様だった。


「今日はこちらへご宿泊ですか?」

「えぇ」

「おっしゃって下されば、我が家に……」

「お気遣いなく……」


にこやかに微笑む奥方は、ホテルのスタッフから何かを受取った。


「実は、これは主人からお2人へ、ご結婚祝いの気持ちです」

「えっ?」

「あぁ見えて、結構照れ屋でもあるので……」

「では、わざわざこの為にいらしたんですか?」

「………そういう事になりますかね」

「陶匠は今、どこにいらっしゃいますか?直接お礼が言いたいのですが……」

「それはお教え出来ません。申し訳ないですが、主人の気持ちを酌んで頂けませんか?」

「……ですが………」

「大事に使って頂ければ、主人の気が晴れますので」

「………」


苦笑する奥方。

本当は桐島氏を通して渡して貰おうとしていたと……。

お心遣いに無理を通す訳にも行かず……。


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