もっと美味しい時間  

「京……す……け?」

「なぁ百花。自分を責めるのは止めろ。お前は何も悪くない」

ストンと胸に染み入るような優しい声色で、私の心を鎮めていく。京介の身体から伝わってくる穏やかな鼓動を感じていると、そのまま身を預けそうになってしまった。

「お邪魔だったかな?」

春さんの戯けたような言葉に驚き、脱兎の勢いで身体を離す。

「ち、ち、違いますよっ!  そんなこと、お、お邪魔とか、ないです、全然っ、はいっ!!」

気が動転して、身振り手振りを加えた、可笑しな説明をしてしまった。

それに、何で私、顔真っ赤にしてるのよっ!
これは、京介に抱かれて赤くなったわけじゃないからねっ!!
いい? そこんところ勘違いしないようにっ!!

誰に説明してるのか心の中で一気に喋り倒すと、息も絶え絶えになってしまう。
息を整えながら京介を見ると、何事もなかったかのように、ひとりゆっくりとお茶をすすっている。

「何、興奮してるの? 春さん、こいつは慶太郎の恋人。まぁ俺にとっては、小煩い妹みたいなもんだな」

ふっと鼻で笑い私の顔を見ると、またお茶をすすりだす。
なにぃ~、小煩い妹だぁ~!  小煩いは余分って言うのっ!!
不満いっぱいの顔で京介を睨んでいると、「まぁ慶ちゃんのっ!」と言って春さんがパッと花が咲いたように微笑み、私のそばに駆け寄り抱きしめた。





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