もっと美味しい時間  

「そう、あなたが……。慶ちゃんが言ってた通りの人ね。会えて嬉しいわ」

「慶太郎さん、私のこと何て言ってたんですか?」

「ふふっ、それは秘密」

春さんが可愛くウインクした。
秘密……かぁ。でも、春さんの顔を見ていると、悪いことではなさそうだ。
綾乃さんとのことは、すぐに許せそうもないけれど、急に顔が見たくなった。
バッグの中から携帯を取り出すと、二人で出かけた時に撮った写真を見る。そこには二人頬を寄せ合って笑っている写真が写っていた。

この時は、幸せの絶頂だったのに……。
やっぱり遠距離恋愛は、成立しないのかなぁ……。

ここに来て何度目かの溜め息をつくと、春さんが心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「えっと、えっと……もも、もも……」

ももが、どうしたと言うんだろう。

「あっ、百花ちゃんっ。あなた、百花ちゃんよね?」

「は、はいっ」

そうかっ。私、まだ自己紹介してなかったんだ。なのに名前を知ってるって言うことは……。

「慶ちゃん、あなたの話する時、とっても幸せそうな顔をするのよ」

「そうなんですか……」

本当なら嬉しいはずのその言葉も、今は胸が痛むだけだった。


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