もっと美味しい時間
春さん、それに京介と慶太郎さんの出会いは、まだ二人が学生だった頃。
冬の寒い日、目眩を起こして店の前でしゃがみ込んでいた春さんを見つけ、病院まで運んだのが二人だったらしい。
診察の結果、何日か検査入院することになったことを春さんの旦那さんに連絡したり、店が忙しい旦那さんの代わりに入院中何度も顔を出しては、甲斐甲斐しく世話をしてくれたんだと、春さんは嬉しそうに話してくれた。
「私たち夫婦には子供がいなくてね。京介ちゃんと慶ちゃんが子供みたいなもんなのよ」
そう言って、京介と微笑み合う様子は、本当の家族のようだった。
「でももうすぐ、私にも娘ができるのね」
「娘……ですか?」
「そう、百花ちゃん。あなたのことよ」
わ、私が娘っ!? どういうこと?
「だって慶ちゃんの恋人ってことは、お嫁さんになるってことでしょ? 慶ちゃんが息子なら、あなたは娘よ」
そうなれば嬉しいんだけど……。私と慶太郎さん、この先どうなっちゃうんだろう。
でも身体を揺すって喜びを表す春さんを見ていると、今の現状を話すことはできない。頑張って笑顔を作り、春さんを見た。
「私も春さんの娘になれますかね?」
「もちろんっ!」
元気よく力強い春さんの一言は、今の私にとって一筋の救いの光だった。