もっと美味しい時間  

「で、京介ちゃんのお嫁さんは、綾乃さんで決まりね」

「はぁ~っ!?」

京介が素っ頓狂な声を出して驚いた。
な、なんでここで、綾乃さんの名前が出てくるんだろう。
えっ!  もしかして、京介の好きな人って、綾乃さんなの? そうなの?
今度は私が驚いて京介の顔を見ると、大きく顔を振って違うということをアピールしだした。

「春さん、勝手な憶測でものを言わないでくれ。誰があんな気の強い女。俺のタイプは、小さくて可愛くて健気な……」

そこまで言うと、顔を薄っすら赤くして横を向いた。

「それって、百花ちゃんがピッタシね」

えぇ~っ!! う、嘘でしょっ!?
タイプがってことだけで、私がってことじゃないよね?
京介っ、そうだと言って~っ!!

今の二人の言葉は、聞かなかったことにしよう……。


春さんの最後の一言で、何となく居た堪れない空気の中食事を終えると、春さんにまた来る約束をして店を出た。

「さてと、タクシー拾って帰るか」

「う、うんっ」

おぉっ!! 緊張して、声が上擦ってしまった。
春さんが変なこと言うから。
私のことじゃないと分かっていても、気になってしまうというか意識してしまうというか……。
京介から少し距離をおいて立っていると、今日何度目かの呆れ顔をしながら近寄ってきた。


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