もっと美味しい時間  

コーヒーを淹れ、リビングに戻る。慶太郎さんにカップを手渡すと、ソファーに腰を下ろした。

「ねぇ、慶太郎さん。明日は綾乃さんも休み?」

「土曜だし俺も休みだから、休みだと思うけど……」

「そう。じゃあお願いがあるの。綾乃さんに、明日ここに来るように伝えてもらってもいい?」

「あ、あぁ、いいけど。いきなり明日か」

先に延ばすのは得策じゃない。こういう事は、早くにケリをつけておかないと……。
相手はあの綾乃さんだ。すんなり事が運ぶとは思わない。
一悶着、いや、二悶着ぐらいありそうだ。
私もそれなりに心の準備をしておかないと、彼女の存在に負けてしまう。

「京介も呼ばないとね」

「何で?」

そんな不機嫌そうな声、出さなくてもいいのに。
京介だって、あの現場にいたんだ。巻き込んでしまって申し訳ないけど、最後まで事の成りゆきをしっかり見ていてもらいたい。

「ほらっ、三人が興奮し過ぎた時に、仲裁役が必要でしょ?」

もっともらしい理由を述べる。

「ふ~ん。やけにあいつに懐いたな。そう言えば、何であいつと一緒に大阪に来たんだよ?」

「えっ? あっ……それは……」

京介から二人で出張に行った話を聞いて、同じ部屋に泊まったかもしれないと疑ったから……なんて、今更言えないよ。
だってそんなこと、聞かなくたってもう分かる。
慶太郎さんは、絶対にそんなことはしてないって。私のことを、愛してくれてるんだから。
でも、慶太郎さんの不審そうな目。言わなきゃ何されるか、分かったもんじゃないっ。
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