もっと美味しい時間  

まるでドラマのワンシーンのように、ゆっくりとドアが開いていく。半分ほど開くと、逢いたく逢いたくてしかたなかった人の顔がハッキリと見えた。

その瞬間……

形振り構わず飛び出し、抱きついてしまった。

「おっとっ! びっくりした。百花、中に入れてよ」

ギュっと力を込めて抱きつき、イヤイヤと首を振る。

「しょうがないな」

そう言って私を少しだけ抱き上げると、そのまま玄関に入った。
絶対に離れないと足まで絡ませると、耳元で慶太郎さんが苦笑した。

「そんなに俺に逢いたかった?」

コクンと一回頷く。

「離したくないほど?」

コクンコクンと二回頷いた。

「俺も……」

耳に甘い声、熱い息がかかったかと思うと耳朶を甘噛みし、唇が首筋をなぞっていく。こんな場所なのに、この先を望み身体を委ねてしまいそうになる自分がいた。
しかし、僅かに残っていた自尊心がそれを押し留める。

「け、慶太郎さん? 私から抱きついておいて申し訳ないんだけど、ここでこれ以上はちょっと……」

「何? お預けかよ」

「だって……」

「お前の身体は、俺を欲しがってるのになぁ」

「イヤ……」

そんなこと、自分が一番良くわかってる。でも、そう言葉で言われちゃうと恥ずかしいじゃないかぁーっ!!
顔を真っ赤にして正気に戻ると、慶太郎さんの胸に両手を当て少しだけ距離を取った。
と、その時、今まで感じなかった匂いに気づく。
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