もっと美味しい時間
声は聞こえず、だんだんと近づいてくる二人分の足音。
リビングダイニングのドアがゆっくりと開き__。
「よっ! 百花おはよう」
「……京介」
ちょっと緊張して損した。
「なんだ、京介か……みたいな顔するなよ」
だって、その通りだからしょうがないじゃない。
「おはよう」と声を掛けると、キッチンへと戻る。
「約束の時間は10時だろ。こんな早くに何しに来たんだよ」
慶太郎さんが、不満そうな声を出す。
「百花がいるなら、美味い朝飯が食えると思ってさ。お前いつも言ってたじゃん。『あいつの料理は最高なんだ』って自慢げにさ」
え? そうなの? 京介に自慢しちゃうくらい、私の料理にメロメロなの?
慶太郎さんを見ると、照れくさそうに顔を赤めてそっぽを向いていた。
うふっ、なんか嬉しい。
気分が良くなったから、京介の分も作っちゃう。
「慶太郎さん。京介の紅茶も淹れてあげて」
「何で俺がっ!」
「だって慶太郎さんが入れた紅茶、すっごく美味しいんだもん。ねっ?」
ちょっと甘えて見せると、「しょうがないなぁ」と言いながらキッチンへとやって来て私にピタっとくっ付き、少し屈んで顔を寄せた。
「最近、俺の扱い上手くなったんじゃない? お前に使われるのも、悪くないな」
そう小声で呟くと、ちゅっと頬にキスをした。