もっと美味しい時間
「仕事のめどが付いたら、こっちでの仕事と住む場所探すよ」
「はぁっ!? 何言ってんだよ。仕事はともかく、住むのはここでいいだろ?」
「でもまだ結婚してないし、ここ独身男性のためのマンションだって……」
「あぁそれね。俺とか京介とか30超えてる連中は、いつ結婚してもいいように、広い部屋になってんだよ。だから心配するな。それとも一軒家のほうがいいか?」
「慶太郎さんと一緒なら、どこでもいい……」
たとえそれがどんなボロボロの棲み家だって、慶太郎さんさえいてくれれば、私はいつだって幸せなんだから……。
「お前それって、狙って言ってる?」
「え?」
「やっぱ天然か……。そんな可愛い顔してそんなこと言うと、食事中でも襲うぞ。俺の理性を弄ぶな」
そう言うと、何かを吹き飛ばすようにナポリタンを平らげた。
私、何か襲われるようなこと言った? 素直な気持ちを言ったまでだけど……。
可笑しな慶太郎さん。
洗い物を終え、お茶を持ってリビングに戻る。
「ところで慶太郎さん。こっちに来るにあたって、両親にそのことを話さないといけないんだけど」
「そうだよな。黙って来るわけにいかないもんな」
「で、慶太郎さんのことを話してもいい?」
「当たり前だろ。と言うより俺から話すよ。どうせお父さんには、お前を下さいって言わないといけないからな」
お茶をテーブルに置いてソファーに座ると、慶太郎さんに抱きしめられた。
髪を一束掴むと耳に掛け、耳朶をムニムニと弄ぶ。