もっと美味しい時間
晩ご飯の時間まで、夕日に彩られている畦道を二人で散歩した。
景色に目を奪われて会話は少なめだったけれど、手を繋ぎ肩を寄せあって歩いているだけでとても幸せだった。
父と母がこの地に住むようになってまだ数年──
けれど近所の人達は、私達家族にとても親切にしてくれている。
さっきも散歩中に隣のおばさんに会い慶太郎さんを紹介すると、まるで自分の孫の事のように喜んでくれ、私はまた泣いてしまった。
「百花、美代さんに会ったんだって? 美代さん、百花の結婚のことすっごく喜んでたよ」
庭から取ってきた野菜をカゴいっぱいに持って、母が部屋に入ってきた。
「うん。なんか、照れくさいね」
そう言って慶太郎さんの顔を見ると、「なっ」と一緒になって照れだした。
まだ私の両親に了解を得ただけで、結婚の日取りが決まったわけじゃない。
だけど結婚までの道のりが一歩近づいたことに、喜びは隠せない。
しかし私には、もっと大きな関門残っていた。
──慶太郎さんのご両親のところへ挨拶に行く──
来週末は、慶太郎さんの実家に行くことになっている。
基本小心者の私は、行く日が決まってからずっと緊張していた。
その緊張を解そうとしてか、「普通の親父とおふくろだから大丈夫」と言ってくれたんだけど……。
それって何のフォローにもなってませんっ!!
普通って、何を持っての普通なのか全く分からないんですけど……。
いきなり落ち込み溜め息をつく私を見て、慶太郎さんが心配そうに顔を覗き込んだ。