もっと美味しい時間
今慶太郎さんは、ソファーで静かに寝息を立てている。
酔っ払って寝てしまう慶太郎さんを初めて見た。
気持ち良さそうに丸まって寝ている姿は、まるで小さな子供みたいだ。
きっと、かなり緊張していたんだよね。
それがお酒を飲んで、父と楽しく話しをして、硬くなっていた気持ちが緩んだんだろう。
でも彼の見たことのない一面が見れたような気がして、ちょっと嬉しい。
両親と打ち解けてくれたのも、私の気持ちを温かくしてくれた。
今日の慶太郎さんには、感謝の気持ちでいっぱいだ。
それにしても、慶太郎さんをずっとここで寝かしておくわけにはいかないよね。
かと言って、私一人では運べないし……。
慶太郎さんの前にしゃがみ込むと、ホッペをつんつんしてみる。
「ん……う~ん……」
顔を少し振るだけで、また寝てしまう。
「ダメだね、これは」
いつからそこに立っていたのか、後ろから父の声がした。その声に振り向くと、父が申し訳なさそうな顔をした。
「お父さんが調子に乗って、飲ませすぎたみたいだな。百花悪い」
「気にしなくていいよ、慶太郎さん楽しそうだったし。また付き合ってあげて」
「そうだな」
慶太郎さんを眺めながら二人で話していると、そこに母もやって来た。
「慶太郎さんっていい人ね。私の料理、美味しい美味しいっていっぱい食べてくれて」
まるで我が子を見るような目で慶太郎さんを見つめる
「よく話してたの。お母さんの料理は最高なんだよって。だから、すごく楽しみにしてたんだ」
ねっ、慶太郎さん。
心の中で、そう呼びかけた。