もっと美味しい時間  

「よしっ、運ぶかっ!」

父が軽快に叫ぶと、慶太郎さんを抱える。私も反対側から支えた。

「慶太郎さーんっ!  ちょっとだけ歩いてねっ!」

大きな声を出し、慶太郎さんに語りかける。
その声が届いたのか薄っすら目を開けけれど、まだ寝ぼけているようだった。

「百花、お風呂沸いてるからね。おやすみ」

「ありがとう、お母さん。おやすみ」

母と挨拶を交わすと、何とか慶太郎さんを部屋まで運び入れ、ベッドに下ろした。そのまま横に倒れこむと、またすぐに寝てしまった。

「お父さん、ありがとね。後は私がやるから」

「ああ、分かった。何かあったらお母さんを呼びなさい。百花も早くお風呂に入って寝るんだよ。おやすみ」

「うん、そうする。おやすみなさい、お父さん」

そう返事をすると、父は私に手を振り静かに扉を閉めた。

さて、慶太郎さんをどうしたものか……。
こんなにぐっすり寝ている、慶太郎さんを起こすのは忍びない。
結婚の話をした後、ラフな服に着替えてるし、このまま朝まで寝かせちゃっても問題ないか。

「いいよね、このままで?」

寝ている慶太郎さんに問いかける。
もちろん返事は帰って来なかったけれど、少し微笑んだ顔に満足すると、パジャマと下着を持ってバスルームに向かった。





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