もっと美味しい時間
昨日と同様、真っ赤な車で駅まで送ってもらい、改札の前に4人で立つ。
「じゃあね、お父さん、お母さん」
「身体に気をつけて、慶太郎さんの言うことちゃんと聞くのよ」
「おかーさんっ! 私、今年で25の大人なんだけどっ。いつまでたっても子供扱い……」
ブゥーっと頬を膨らまし怒って見せると、慶太郎さんが肩を叩いた。
「しょうがないさ、百花は子供っぽいからな」
「もうっ! 慶太郎さんもお母さんも意地悪っ!! やっぱりお父さんが大好きっ」
そう言って父の腕にしがみつく。嬉しそうな顔をする父。
「百花、そう言ってくれるのは嬉しいけど、慶太郎くんの目が怖いよ」
「えっ?」
父の腕の隙間から慶太郎さんを見ると、笑顔の目の奥は黒いオーラを放っていた。
普通、彼女の父親にヤキモチ妬く?
まったく、どっちが子供なんだか……。
父から腕をほどき慶太郎さんの横に並ぶと、彼の指に自分の指を絡めた。
「じゃあ本当に行くね。またいろいろ決まったら連絡する」
「そうね。待ってる」
「では、失礼します」
慶太郎さんがお辞儀をすると、私は二人に手を振ってその場を後にした。