もっと美味しい時間
慶太郎さん曰く、
『改札を出たら、すぐ分かるところにいるから』
と言うことらしい。
───こんなに人が多いのに、すぐに見つかるのかしら?───
とキョロキョロしていると、彼を見つける前にちょっとした人だかりが目に入いる。
ここは大阪だし、もしかして芸能人でもいる?
ちょっとした興味本位で近づいてみると、そこには……。
「け、慶太郎さん……と京介っ!?」
二人がビシっと決めたスーツ姿で、壁にもたれながら話をしていた。
身長が180を超える二人の立ち姿は、さながらモデルと言ったところか。
とにかく様になっていた。
周りで見ている女性たちから、「カッコいい」とか「素敵~」なんて声が聞こえてくる。まぁ確かに、カッコいいし素敵だ。そう言いたくなるのも、分からなくないけれど……。ちょっと複雑な気分。
そのうち、4人組の女の子たちが慶太郎さん達に声をかけ始めた。
あれが“逆ナン”と言うやつだろうか……。
しばらくその様子を眺めていると、女の子たちが残念そうな顔をして帰っていった。ちゃんと断ったみたいだ。
分かっていたことだけど、何となくホッとしてしまう。
肩を撫で下ろし顔を上げると、京介と目が合ってしまった。
何故だか頭が“ヤバいッ”と信号を送り、慌てて目を逸らす。
しかし一歩遅かった。
「おうっ百花ーっ!!」
手を上げ、大声で私の名前を叫ぶ京介。
一瞬で、そこにいる全員の女性がこちらを振り向いた。
ギャーッ!!
何も悪いことしてないのに、私睨まれちゃってるんですけどっ!!
焦った私は、『私は百花じゃありませんよ』と言わんばかりに、彼女たちと同じように後ろを向いた。