もっと美味しい時間  

「おい慶太郎。百花の顔ヤバくないか?」

「さすがにあれはヤバいか……」

なんか酷い言われよう。
でも今の私は、何を言われても大丈夫っ!!
だって、あの綾乃さんが綾乃さんが……。

「慶太郎さんっ、聞いてっ!!」

走って駆け寄ると、彼の胸にしがみつく。

「お、おい、百花。ここ、会社の真ん前なんだけど」

「あっ……」

周りをゆっくり見てみると、中から出てきた女性社員たちが、驚いた顔をしながら何やらコソコソ話していた。
慌てて離れても、時すでに遅し───
いかにも秘書課と思われるキレイなお姉さん方数名が、カツカツヒールの音を立ててこちらに向かって来ていた。
私、この手のお姉さん方がとっても苦手なんだけど……。

「櫻井主任、お疲れ様です。あの、こちらの支社長に隠れている女性、どちら様ですか?」

京介には微笑みを見せてから、私にキツイ目を向けた。
こ、こ、怖いですーっ!!
慶太郎さんの背中から覗かせていた顔を引っ込める。
けれど京介に腕を掴まれ、慶太郎さんの横に立たされてしまった。

「お前なぁ、堂々としてろよ。別に隠し事じゃないんだからな」

そうは言われても、やっぱりお姉さん方が怖い。
堂々と言われても……。
シュンと項垂れると、慶太郎さんに肩を抱かれた。
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