もっと美味しい時間  

「私たちはてっきり綾乃さんとご一緒になられるのかと……」

一人のお姉さんがそう言うと、残りのお姉さん方も「そうよね~」なんて、不服そうに顔を見合わせている。

「西園寺は大学時代からの親友だ。それ以上でもそれ以下でもない」

そうはっきりと言われ、口を噤むお姉さん方。
心の中でうっしっしと笑ってやる。

でも慶太郎さんも慶太郎さんだ。
大学時代からの親友? それ以上でもそれ以下でもない?
嘘ばっかりっ!!
大学時代はお付き合いしてて、つい先日は、自分からじゃないとはいえキスしちゃったくせにっ!

慶太郎さんをキッと睨み、あっかんべーをして見せる。
しかしこの後コソッと聞こえた、お姉さん方の心無い言葉に撃沈。

「何もあんな子と結婚しなくても……」

あんな子って……。
そりゃ綾乃さんみたいにスタイル良くないし、綺麗でもないよ。
でもそれなりに頑張って、慶太郎さんに似合う女性になろうと努力してるのになぁ……。
ちょっと泣きそうになって横を向くと、京介に顔を覗きこまれた。

「今のはキツいよなぁ。でも無くことないじゃん。あれは彼女たちの負け惜しみ。百花は今のままで、十分可愛いって」

ドキンっ!!
って私っ!  何で京介の言葉にドキドキしちゃってんのっ!? あり得ないでしょっ!!
顔を真っ赤にしてあたふたしていると、慶太郎さんが近づいてきた。

「京介っ!! 百花に何したっ?」

「何もしてないって。ただ可愛いって言っただけ」

「なっ?」と、私に向かってウインクする。
何が『なっ?』よ。要らないこと言って……。余計、慶太郎さんを怒らすだけでしょ!!

「ふ~ん。で百花は、顔を赤くしてるわけだ」

ほらっ怒ってる。しかも矛先は私になっちゃってるし……。






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