もっと美味しい時間
リビングへと案内されると、持ってきた手土産を渡し、もう一度丁寧に挨拶を済ませた。
「さぁ、二人共立ってないで座って。今、お茶持ってくるわね」
「お構いなく……」
お義母さんがキッチンに姿を消すと、慶太郎さんが脇腹をつついた。
「いつになく、しおらしいな」
「当たり前でしょっ! 第一印象が大事なんだから」
「いつも通りの百花でいいのに。ちょっとは緊張も治まったか?」
頭をくしゃくしゃっと撫でられた。
「もう、慶太郎さんっ!! 折角キレイにまとまってる髪が、乱れるでしょっ」
慶太郎さんの手を掴み抗議していると、お義母さんが戻ってきた。
「二人は仲がええのね。でも百花さん、本当にこの子でええの?」
「母さんっ! それ、どういう意味だよ」
「だってあんた、最近わがままで偉そうじゃない」
さすがは、お義母さんっ!!
慶太郎さんのこと、よく分かってらっしゃる。
これは結婚した後も、お義母さんには強い味方になってもらえそうだ。
でもここは、慶太郎さんを立ててあげないとね。
「そんなことないですよ。優しくて頼り甲斐があって、私にはもったいないくらいの人です」
私にしては上出来の返しに、心の中で自分で自分に拍手した。
慶太郎さんをチロっと横目で見ると、まんざらでもないようすだ。
「そう? それにしても可愛い子じゃね、慶太郎。明日香と同じ年くらいかしら」
明日香? 誰ですか、それ?
首を傾げて、慶太郎さんを見る。
「百花は明日香の一つ下だな。ごめん、言うの忘れてた。明日香っていうのは、俺の妹。今は東京で生活してて、たまにしか会えないけどな」
慶太郎さんに妹がいるなんて初耳だ。
でも慶太郎さんの話口調で妹さんと仲がいいのが垣間見えたし、1つ違いなら私も仲良くなれればいいんだけれど……。