もっと美味しい時間  

リビングへと案内されると、持ってきた手土産を渡し、もう一度丁寧に挨拶を済ませた。

「さぁ、二人共立ってないで座って。今、お茶持ってくるわね」

「お構いなく……」

お義母さんがキッチンに姿を消すと、慶太郎さんが脇腹をつついた。

「いつになく、しおらしいな」

「当たり前でしょっ!  第一印象が大事なんだから」

「いつも通りの百花でいいのに。ちょっとは緊張も治まったか?」

頭をくしゃくしゃっと撫でられた。

「もう、慶太郎さんっ!! 折角キレイにまとまってる髪が、乱れるでしょっ」

慶太郎さんの手を掴み抗議していると、お義母さんが戻ってきた。

「二人は仲がええのね。でも百花さん、本当にこの子でええの?」

「母さんっ!  それ、どういう意味だよ」

「だってあんた、最近わがままで偉そうじゃない」

さすがは、お義母さんっ!!
慶太郎さんのこと、よく分かってらっしゃる。
これは結婚した後も、お義母さんには強い味方になってもらえそうだ。
でもここは、慶太郎さんを立ててあげないとね。

「そんなことないですよ。優しくて頼り甲斐があって、私にはもったいないくらいの人です」

私にしては上出来の返しに、心の中で自分で自分に拍手した。
慶太郎さんをチロっと横目で見ると、まんざらでもないようすだ。

「そう? それにしても可愛い子じゃね、慶太郎。明日香と同じ年くらいかしら」

明日香? 誰ですか、それ?
首を傾げて、慶太郎さんを見る。

「百花は明日香の一つ下だな。ごめん、言うの忘れてた。明日香っていうのは、俺の妹。今は東京で生活してて、たまにしか会えないけどな」

慶太郎さんに妹がいるなんて初耳だ。
でも慶太郎さんの話口調で妹さんと仲がいいのが垣間見えたし、1つ違いなら私も仲良くなれればいいんだけれど……。

< 205 / 335 >

この作品をシェア

pagetop