もっと美味しい時間  

用事で出かけていたお義父さんが帰ってくると、みんなで近所の広島焼きのお店でお昼をとった。
慶太郎さんから無口のお義父さんと聞いていたけれど、とても気さくな人で私のことを快く受け入れてくれた。
広島焼きを頬張りながら、しばし幸せで暖かい時間を過ごした。



「本当に泊まっていかないの?」

「悪い。俺も忙しくてなかなか時間取れないし、帰りに神戸でも寄って行こうと思ってさ。また結婚の日取りとか決まったら一緒に来るよ」

「そうしてね。百花さん、慶太郎のこと、よろしくね」

「あ、はい。任せて下さい」

「何いってんだよ、全く……」

呆れた顔して私の頭を撫でれば、お義父さんとお義母さんが面白そうに笑い出す。
慶太郎の性格は、この二人から受け継いだものに違いない……。

慶太郎さんの実家を後にすると、コンビニで飲み物を買ってすぐに高速に乗った。

「お義父さんとお義母さん、私のこと気に入ってくれたかなぁ……」

「二人の顔見てれば分かっただろう。俺のことなんか、全然眼中に無いって感じだったしさ……」

確かに広島焼きのお店でも三人で話してばかりで、慶太郎さんは一人で黙々と食べていた。
入る余地はないってやつだ。

「もしかして、拗ねてる?」

「はぁ!? そんなことで拗ねるか。ただ何となく、親父に百花を取られたような気分だった……って、何言わすんだよ」

「やっぱり拗ねてる。そんなに私のこと好きなんだぁ」

運転している慶太郎さんの肩をバシバシ叩き笑うと、照れくさそうに顔を赤らめた。
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