もっと美味しい時間  
どうしようと、慶太郎さんにすがるような目を向けると、ふっと笑ってから頭を撫でられた。

「大丈夫、怒ってないからさ。こいつは中学ん時の同級生で駒田邦男。見たくれはこんなんだけど、センスは抜群でさ。俺の服は、ほとんどここで用意してもらってるんだ」

駒田邦男……。ガッツリ男なのね。
いかにも男って言う名前に、笑いを堪えるのも一苦労。

「ちょっとあんたっ!  今、笑ったでしょ?  全く失礼しちゃうわねっ。それに、慶太郎も慶太郎よ。私の名前は、マダム水華! 水華って呼んでって、何回も言ってるでしょうがっ!!」

最後の方の声、男になっちゃってるんですけど……。
と、また余計なこと言ったら怒られちゃう。

店内を見渡すと慶太郎さんが言うとおり、服や小物もセンスのいいものが置いてあった。まだ名の売れてない新進気鋭のデザイナーのものなのか、私の好きなタイプのデザインのものも多くディスプレイしてあった。
店の雰囲気もよく、落ち着いた感じだ。

「ちょっとあんたっ!  そんなとこにぼさっと突っ立ってないで、さっさとこっちに来てチョーダイっ!!」

腕をぎゅーぎゅー引っ張られて奥のフィッティングルームに連れて行かれると、あっという間に下着姿にされてしまった。
頭のてっぺんからつま先まで舐めるように見られると、はぁ~と特大な溜め息をつかれてしまった。

 
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