もっと美味しい時間  

大阪駅に着くと、京介が待っていてくれた。
美和先輩より先に小走りで走って行くと、京介の胸ぐらを掴んだ。

「おいおい、会って早々この扱いはないだろう」

「美和先輩を泣かせたりしたら、ただじゃおかない」

「おぉ、百花その台詞格好いいな。ただじゃおかないって、もし泣かせたら俺はどうなるんだ?」

「事と次第によっては、命も危ないってこと」

「もう何物騒なこと言ってるの、百花は。ごめんなさいね、京介さん」

美和先輩が京介の胸ぐらを掴んでいる私の手を外すと、京介さんのネクタイを直してあげた。
その姿は二人の関係を知らない人が見ればまるで夫婦そのもので、私までもがその自然な振る舞いにウットリ見惚れてしまうほどだった。
そして直し終わると私の横に立ち、丁寧に挨拶を始めた。

「今日はわざわざ迎えに来ていただいて、ありがとうございます。本当に私、京介さんのところに泊めていただいていいんでしょうか?」

「当たり前でしょ? どうしてそんなことを言うんですか?」

「だって……」

わぁわぁ、美和先輩が赤くなってる~。可愛い!
どうしよう? 私って今、すっごくお邪魔人間だよね?
ここはお若い二人にお任せして……。

二人にバレないようにそ~っと向きを変えてゆっくり離れていくと、私の背中に呆れたような声が当たった。

「おい百花、勝手に離れるなよ。お前はすぐに迷子になるんだからな。二度手間掛けさせんな」

その横で美和先輩も頷いている姿を見ると、肩を落としとぼとぼと二人の元まで戻った。

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