もっと美味しい時間
「さてと、デパ地下でいろいろ食料を買ってから、マンションに行くか」
「今日は外で食べないの?」
「慶太郎、さっきまで仕事だったんだよ。だから家でのんびりしたいって言うから、だったら慶太郎のとこでみんなで飲むかってことになって。きっと今頃部屋の掃除してるんじゃないか?」
「そんなこと気にしなくてもいいのに……」
私は多少部屋が汚れていたって、全く気にならないのになぁ。それに慶太郎さんの部屋は、汚れてるっていうレベルに達することはないと思うんだけど……。
慶太郎さんの名前が出てきたら、無性に会いたくなってきてしまった。
変な意味じゃなく、身体がムズムズ落ち着かない。
「あ、あのぉ~」
「「何?」」
私の前を仲良く肩を並べて歩いていた二人が、同時に振り向き同時に同じ言葉を発した。
その二人の威圧感に押されながらも、頭の中に浮かんでしまった言葉を素直に伝えた。
「慶太郎さんに早く会いたくなっちゃいましたっ! 先にマンションに行ってもいいでしょうかっ?」
「却下!」
「えぇ~」
京介の返事にガッカリしてその場にしゃがみ込みと、誰かに頭を撫でられた。半べそで上を見上げると、美和先輩が笑いながら手を差し出していた。
「京介さんの嘘も見破れないなんて、百花もまだまだね。さぁ立って。ちゃんと真っ直ぐマンションに向かうのよ、分った?」
美和先輩は手を振って、京介は早く行けと言わんばかしにシッシッと手払いをして私を見送ってくれた。
そしてタクシーに乗り込むと、慶太郎さんに会いたい気持ちは増々膨れ上がっていった。