もっと美味しい時間
人目も気にせず美和ちゃんに抱きついていると、どこからか携帯のなる音が聞こえてきた。
「ごめん百花。電話だ」
私を引き離しバッグの中を探り、携帯を取り出す。相手を確認すると、美和ちゃんが私の方をチラッと見てから電話に出た。
「はい。うん……うん、分かりました。すぐ行きます。はい」
すぐ行きます? と言うことは、京介からの電話だったんだろう。
慶太郎さんと話しが着いたから、上に来いっていうことか……。
いくら京介と美和ちゃんがいてくれるからと言っても、今は会いたくない。
慶太郎さんにも、あの女性にも……。
「今の聞いてた? 京介さんが来いって。どうする?」
電話を切った美和ちゃんが、心配そうに聞いてくる。
美和ちゃんに、いつまでもそんな顔はさせたくない。
それにあれだよね。嫌なことは、早く決着つけちゃった方が後々楽だよね?
ここはイッチョ、頑張りますかっ!
「行く。そして、ちゃんと慶太郎さんの話を聞くよ。たとえそれが最悪の状態を招いても、逃げてたら前と同じ事の繰り返しだもんね」
そう。私はあの綾乃さんとの一件以来、もう何からも逃げないって決めたんだから。
でも今回は、ちょっと辛い結果に終わってしまうかもしれない。
その時自分がどうなっちゃうか、想像もつかないけれど、これが現実なんだなと受け入れるしかないんだろうなぁ。
でも、行くしかないっ。
うんっと一度だけ大きく頷き美和ちゃんを見ると、同じように頷いてくれた。
そして足取りも軽く……とまでは行かないけれど、美和ちゃんと一緒に慶太郎さんの部屋へと向かった。