もっと美味しい時間
二人黙ったまま18階のフロアに降り立ち一番奥のドアを目指すと、そこには慶太郎さんが立っていた。
それも何故か、鬼の形相で……。
「ごめん、美和ちゃん。私やっぱり無理かも」
何であんな顔されないといけないいんだ?
怒ってるのはこっちだと言うのに、私の方が悪かったと思ってしまうのは何故?
足が止まってしまい、一歩、また一歩と下がっていってしまう。
「百花っ!! 早くこっちに来いっ!!」
「ひゃぁっ!!」
いきなり大きな声で怒鳴られて、身体がビクッと大きく跳ねた。
「東堂課長、そんな大きな声出したら、百花がそっちに行きにくくなりますよ」
「若月! 俺はもうお前の課長じゃない! それにこれは、俺と百花の問題だ。お前が口を挟むな」
「お言葉ですが、東堂支社長殿!! じゃあ毎回毎回、百花を泣かさないでもらえますか? 女ひとり幸せに出来ないなんて、見損ないましたよ!!」
おぉ~、さすが美和ちゃん!
あの慶太郎さん相手に全く負けてないと言うか、慶太郎さんが結構タジタジ?
これはウケる。傑作。写メに撮っておきたいくらい。
ついつい可笑しくて、笑ってしまった。
「百花!」
「はいっ!!」
「あんたももっと自分の気持ちを言わないと、分かってもらえないって言ったでしょ!」
すみません、そうでした……。
そして美和ちゃんの腕に掴まり、とうとう慶太郎さんの前に到着してしまった。