もっと美味しい時間
「夜だし、やっぱり百花はここで待ってろ。俺が行ってくる」
「大丈夫だから私に行かせて、お願いっ。何かあったらすぐに連絡するから」
慶太郎さんにしがみつき、必死に懇願した。でもどんなにお願いしても首を立てに振らない慶太郎さんに困っていると、見兼ねた京介が助け舟を出してくれた。
「慶太郎、ここは百花に任せてみるっていうのもいいんじゃないか? お前が行ったって、また喧嘩になるだけだろうし。女同士の方がうまくいくこと、あると思うぞ?」
「そうなのか? 明日香、結構手強いぞ?」
「でもそこを乗り越えないと、二人に明るい未来はやって来ないんじゃありません、課長? それに早く私を、百花のおもりから開放して下さいよ」
「若月……」
「そうだぞ慶太郎。じゃなきゃ、俺が美和に告白出来ないだろっ」
「京介さん……」
わぁっ! 京介っ!! どさくさに紛れて何言ってんのっ!?
しっかり腰まで抱いちゃって……。こんな京介、初めて見た。
でも美和先輩、嬉しそうだなぁ。真っ赤になっちゃって。
よしっ!
美和先輩と京介の為にも、ここは私が頑張んなきゃっ!!
「慶太郎さん、私も強くなったんだよ? 絶対に連れて帰ってくるから、待っててっ!」
背伸びして慶太郎さんの頬にキスをすれば、「しょうがないなぁ」と言って頭をくしゃくしゃと撫でる。
私のこと、そして明日香さんのことも本当に心配してくれているのがひしひしと伝わってくるくらい抱きしめられると、それに応えようと力が漲ってきた。
「あんまり頑張りすぎるなよ」
「うん」
ゆっくり身体を離すと微笑み合い、急いで明日香さんの後を追った。