もっと美味しい時間  

「ちょっと待って!  私の話を聞いてっ!!」

静かな公園に私の大きな声が響き、それに驚いた明日香さんがビクッと立ち止まる。
彼女に近づき腕を掴むと、元いたベンチに座らせる。
明日香さんは苛立ちながら私の手を払うと、私に背中を向けてしまった。

先は永そうだなぁ……。

溜め息をつき明日香さんの隣に座ると、一番気になっていることを聞いてみた。

「明日香さんは、私と慶太郎さんの結婚に反対何でしょうか?」

私にとって、まずそれが一番大切ななことだった。
今の世の中、結婚は当人同士の問題で家族は二の次だけど、私はやっぱり両方の家族全員に祝福してもらって結婚したい。
それが一歳しか歳が違わない慶太郎さんの妹ならば、なおさらだ。
一人っ子の私に、お姉さんが出来るんだと、ドキドキしながらも楽しみにしていたのに……。

「反対。あなたじゃお兄ちゃんの妻として相応しくないのっ」

「相応しくない……。それは私が何の取り柄もない女だからですか?」

「はぁ? 全部よ、全部」

全部って言われちゃったら、直しようがないじゃん。ガックリ……。
って、まだ明日香さんとの戦いは始まったばかり。ここで弱音を吐いてたら、この先がやっていけない。

もう一度心を強く持つと立ち上がり、明日香さんの正面へと回った。

「な、何よ?」

「ちゃんと顔を見て話しましょう。背中しか見えないと、明日香さんの本心が見えないですから」

私の気迫に押されたのか明日香さんの顔色が変わり、その後は背中を向けられることはなくなった。







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