もっと美味しい時間  

目が覚めるとそこは……

「慶太郎さんのベッドの上……だよね?」

見慣れた天井、見慣れたカーテン。それに、慶太郎さんの匂いがする枕。
それをギュっと抱きしめると、幸せな気分が身体中に充満していく。

「何してんだよ、変態」

「うわぁっ!!」

頭だけ起こして声がした方を見ると、慶太郎さんがしゃがみ込みベッドに頬杖ついて私を変な目で見ていた。

「いるならいるって教えてくれればいいのに……変態なんて」

「お前は俺をどれだけ心配させれば気が済むんだっ!! 体調が悪かったなら先に言っておけよ。知ってたら明日香のとこには行かせなかったのに……」

「あの時は何ともなかったから……。今は全然痛くないし、何だったんだろう」

「明日医者行くぞ」

「えぇ~、そんなに心配しなくても大丈夫だよ。ちょっと食べ過ぎちゃったかなぁ」

「駄目だ」

「私のことなんかより、明日香さんはちゃんと帰ってきてる? まだちゃんと話終わってなかったし……」

家とは逆の方向へ歩きかけてたからね。その途中で私倒れちゃったから、明日香さんがどうなったか心配だった。

「あいつから『お前が大変だっ』て連絡入って、ここに連れて来るまですっごく心配そうにしてた。何話したのか知らないけど、百花の気持ち少しは伝わったみたいだぞ」

「そうなんだ……」

明日香さんとの関係はまだすぐには改善されないだろうけど、ちょっと明るい未来が見えたような、そんな気がした。

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