もっと美味しい時間  

美和先輩に手伝ってもらった引越しの後片付けも水曜日には終わり、木曜金曜は二人で大阪の街を観光して過ごした。

とは言え私もまだまだ慣れない土地。
相変わらずの方向音痴に先輩を巻き込んで、謝ること数回。
その度に京介に電話をして助けを求めていたら、「土曜日にいろいろ連れて行ってやるから、あまりチョロチョロするなっ!!」と、怒られてしまった。

「まぁそんな肩を落とさずに。京介さん、いつも百花のことを心配してるんだよ」

「あれで? そりゃね、いつも世話かけてるなぁとは思ってるけど……。何かいちいち棘があるというか」

「百花がもっと成長すればいいんだけどね。そうしたら、慶太郎さんも京介さんも私も、安心していられるんだけど」

「慶太郎さんと付き合いだした頃に比べたら、かなり成長してると思うんだけど」

「それはそうなんだけどね」

何となく納得いかないで膨らましている頬を、笑顔の美和先輩にツンっと突かれると、怒っているのがバカバカしくなってきて笑いが込み上げてきた。

「いつでもって意味じゃないけど、百花はそうやって笑ってるのが一番似合ってる。難しく考えないでいいんじゃない?」

みんな百花のことが大好きなんだから───

美和先輩のその言葉に心の中が温かくなって、間に涙が溜まってしまった。
瞬きをすれば、途端に溢れだしてしまいそうだ。

「何? 私、泣かすようなこと言った?」

ふるふると頭を振る。

「もう……」と先輩が私の肩を抱くと、その涙は一気に瞳から溢れだし、しばらく止まることはなかった。


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