もっと美味しい時間
そして勢い良くドアが開け放たれると、そこに姿を現したのは……
「百花っ!! 大丈夫かっ?」
「慶太郎さんっ!? どうして、ここにいるの? 会議はどうしたの?」
早く来ても明日の夕方だと思っていただけに、嬉しさよりも驚きのほうが勝ってしまって、口からは疑問文しか出てこない。
それでも目線はしっかりと慶太郎さんを捕らえていて、顔からは大量の汗を流し息を切らせている姿に、私のために急いで来てくれたんだと鼓動が高鳴っていった。
なのに慶太郎さんったら、開口一番……。
「何だよっ!! そこは普通、『来てくれて嬉しいっ!!』とか何とか、喜びの言葉を言うところじゃないかっ?」
きっと走ってきてくれたんだからしょうがないとは言え、その言い方にカチンと来てしまった。
「嬉しいけど、大切な会議があるって言ってたから、心配してるんでしょっ!!」
「誰が俺の心配をしろって言ったっ?」
「誰が今日来てって言ったのよっ!!」
「何だよっ!!」
「何よっ!!」
「ちょっとそこの二人! ここは病院ですよっ!! もう少し静かにお願いします」
ドアの方から聞こえてきたその声に二人同時に振り向くと、恰幅のいい看護士さんがこちらを睨んで立っていた。
「「すみません……」」
これまた同時に謝ると、看護士さんは「分かればよろしい」とニコリと微笑み、ドアを閉めた。