もっと美味しい時間  

慶太郎さんの、バカッ、アホッ、おたんこなすっ!!!
いくら曽我部先生に聞かれたからって、何もバカ正直に答えることないでしょうっ!!
曽我部先生も曽我部先生だよっ!! 何てこと聞いてんのよっ!!
ほんと男っていう生き物は、デリカシーってもんがないんだから。
もうこんなの恥ずかしすぎて、結城先生の前に顔出せないよ……。
腹ただしさから布団の中で悶えていると、ゴツンっといい音が聞こえたきた。

「イッてぇ~。先生、いきなり何すんの?」

これは慶太郎さんの声。ゴツンと音がして、痛いってことは……。

「ほらっ、藤野さんに謝りなさい。ほんと、女心が分かってないのね。藤野さん、本当にこんな人と結婚していいの?」

えっ? 結城先生、何でそんなこと言うの?
そりゃ慶太郎さんは、バカでアホでおたんこなすで、デリカシーの欠片もない人だけど(ちょっと、言い過ぎか……)、私にはもったいないくらい素敵な人で……。

あれ? あれれ? 何で涙が出て来るの?
折角止まっていた涙が、次から次へと溢れだす。そして被っていた布団をバサッと引っぺがすと、力任せに慶太郎さんに抱きついた。

「どんなに意地悪されたって、どんなに偉そうだって、慶太郎さんと結婚したいっ!! バカでもアホでもおたんこなすでも、慶太郎さんと一緒がいいっ!!」

「なぁ百花、抱きついてもらえるのは嬉しいけど、その言い草はちょっと酷くないか?」

「どこが?」

「……何でもない」

無駄かと悟ったように溜め息をつくと慶太郎さんが、抱きしめる腕に力を込めた。

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