もっと美味しい時間  

「百花、お前の変化に気づいてやれなくて悪かった。やっぱり前に倒れた時に、引っ張ってでも病院に連れて行くんだった」

「ううん、それは気にしないで。私が大丈夫なんて言ったのがいけなかったんだから」

「愛してる」

「私も……」

なんて、今いる場所がどこなのか二人ともスッカリ忘れてしまい、イチャイチャラブラブしていたら、結城先生の大きな咳払いと曽我部先生の溜め息が聞こえたきた。

「はいはい、素敵なラブシーンをありがとうございました。続きは私たちがいなくなってから始めて下さい」

そこまで言って手にしていたカルテのファイルを開くと、「ったく独身の女の前で、よくイチャイチャ出来るもんだ」とか何とか、ブツブツと呟き始めた。

ごめんね、先生。
でも可愛くて面白い先生で良かった───

慶太郎さんと微笑み合うと、二人で先生に頭を下げる。

「これから、よろしくお願いします」

「はいはい。と言うことは、今後もこの病院で診察や検診を受けていくってことでいい?」

「はいっ」と答えると、結城先生は今の私の状況の説明をしてくれた。

お腹の中の赤ちゃんは、心音もハッキリ聞き取れて元気だということ。
私の方はと言うと、貧血数値が酷くてそのせいで倒れたんだろうと。今晩から点滴を受けて、2~3日で退院できるだろうだって。

「それ以外は、至って健康。バイト中に倒れたってきいたけど、辞めることないからね。迷惑かけたぶん、頑張って働くように。でも無理は禁物。辛くなったら、誰かに頼りなさい」

分った? と私の耳元で囁くと、ウインクをして病室から出て行った。
< 314 / 335 >

この作品をシェア

pagetop